先日、ポートランド市内にあるインターナショナル・スクールで、ポジティブ・アイデンティティー論をベースにした授業をさせていただきました。これは、大学院の研究の一環でもあり、このGSSでの中高生向けプログラムの土台になるものです。今回は、日本語を学ぶ 10代の生徒さんたちの学習グループだったので、日本語で授業をすすめました。 テーマは、文化とアイデンティティーについて。その定義をみんなで探ります。 まずは、日本文化がどうみんなの思考や行動に影響を与えるのかを紐解いていきます。これまでリサーチしてきたデータを紹介したり、たくさんの日本人留学生たちのお世話をさせていただいた中で感じたことや、私なりに出した答えもシェアさせてもらいました。ひとりの生徒さんから、 「アイデンティティーはもって生まれたものですか。それとも後付けされるものですか?」 今日のゴールに近いものをいきなり質問されて驚きました。この日の生徒さんたちは、日本人の親がいたり、日本文化に興味があって日本語を勉強している子どもたち。日本文化はアメリカにいてもよく知っているし、実際に日本へ行ったこともあるそうなので、大きく頷きながら聞いてくれて、いろいろな例をよく理解してくれました。 その後は、自分のアイデンティティーをどう構築していくかの実践編です。今回は、たまたま論文で取り上げた文化とリンクしていたので、京都の妙心寺・退蔵院さんのビデオクリップを通して、日本の文化を感じてもらいました。コンパクトにまとめられているのですが、実にすばらしい映像なのです。 そもそも自分の文化やアイデンティティーなんて、つかみどころのないものです。ですが、彼らの置かれた環境は、きっと他の人たちよりも多くを感じ、自分なりに考えてきた分野なのだろうと察しました。アクティビティーもひとつひとつ丁寧に考え、取り組んでくれました。 生徒のみなさんからは、「わかりやすくて、いろいろつながりがみえてよかった」「バラバラに思っていたものがまざって、今の自分に関係していることがわかった」など、限られた時間ながら、何かを掴んでくれたようでした。 授業の後、クラスの先生からは「大変興味深いクラスをありがとうございました!今日のグループの子達は、日本とアメリカその両方の環境の中で学び、アイデンティティや文化について、これまでなんとなくその間を行ったり来たりしてきた子達なので、すごく興味深いクラスだったと思います。 子どもたちも「今日のクラスは、楽しかった〜。」と話してました。本当に本当にありがとうございました!またよろしくお願いします!」と感想をいただき、とても嬉しかったです。 どんな教育理論もカリキュラムも、子どもたちが主体的に楽しんで学べるものでなければ、ただの空き箱のようなものです。少なくとも、私が関わるものについてはそう感じています。まだまだ発展途上中のプログラムですが、今日の経験は、とっても有意義で、次へつながるものとなりました。 このような機会をくださり、当日もサポートしてくださったオーエン・由香子先生、ともに学ぶ仲間になってくれた生徒のみなさんたち、本当にありがとうございました! 次回は、州立大学で学ぶ日本人留学生たち、そして6月には東京の高校にこのプログラムをお届けする予定です。ポートランドの公立高校からもお声かけいただいているので、少しずつ、それぞれの生徒のみなさんにあったカリキュラムに発展させていきたいと思っています。 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。 河合聡子
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